#6 休養編①「休む=サボり」はもう古い?上を目指す選手が知っておくべき「回復の基礎知識」

まずはここから!育成ロードマップ

こんにちは。 今回からは新シリーズ「野球選手のための休養(リカバリー)学」を全4回でお届けします。

いきなりですが、皆さんは「疲労」や「休養」と聞いて、どんな状態をイメージしますか?

「筋肉痛で体が痛い」 「体が鉛のように重い」

多くの人が、こうした「身体的な疲れ」を思い浮かべるのではないでしょうか。

もちろん、体を休めて筋肉を回復させることは非常に重要です。

しかし、野球というスポーツにおいて、実はもう一つ、見落としてはいけない「疲れ」が存在します。

それが「脳・神経の疲れ(中枢性疲労)」です。

今回は第1回目として、なぜ「休養」が重要なのか?
身体の疲れだけでなく、科学的根拠に基づいた「2種類の疲労」について解説します。

上を目指す選手なら最低限押さえておきたい土台となるお話です。

「休んでいる間」にしか体は成長しない

まず、トレーニングの大原則を確認しましょう。

「人間は、休んでいる間に成長する」

練習中、体の中では筋肉が微細に損傷し、エネルギーが使われ、言わば「破壊」が進んでいます。

その後、食事を摂って睡眠をとる。この「休養」の時間に、体は壊れた部分を修復し、以前より強くしようとします(超回復)。

つまり、こういうことです。

  • 練習=刺激(破壊)
  • 休養=成長(修復)

もし、休養をおろそかにして練習し続けたらどうなるか?

「破壊」ばかりが積み重なり、修復が追いつかず、パフォーマンスは低下し、最終的には怪我に繋がります。

「休養」というパーツがあって初めて、練習は「成長」に変わるのです。

「体は元気だけど打てない」の正体

「今日は筋肉痛もないし、体は元気なはずなのに、なぜかバットが出てこない」
「判断が一瞬遅れる」

そんな経験はありませんか?

これこそが、先ほどお伝えした「もう一つの疲労」の正体です。

野球選手の疲労は、大きく2つに分けられます。

① 末梢性疲労(身体の疲れ)

皆さんがイメージする一般的な疲れです。

筋肉そのものやエネルギー切れによる疲労です。

  • 特徴: 筋肉痛や体の重だるさとして自覚しやすい。
  • 回復: 栄養補給と血流促進で、比較的スムーズに回復する。

② 中枢性疲労(脳・神経の疲れ)

こちらは「脳」から筋肉へ送る命令(神経伝達)が弱くなっている状態です。

  • 特徴: 自覚しにくい。「集中力が続かない」「反応が遅れる」といった形で現れる。
  • 回復: 体の疲れよりも回復に時間がかかり、完全に抜けるまで48〜72時間かかることもある。

野球は、一瞬の判断で体を動かす「脳のスポーツ」です。

体が元気でも、司令塔である「脳」が疲れていれば、本来のパフォーマンスは発揮できません。

「身体」と「脳」、この両方を回復させることが、正しい休養の第一歩です。

このシリーズで目指すのは「当たり前の基準」を上げること

この休養編でお伝えするのは、プロだけが実践するような特別な魔法ではなく、「これだけやっておけば、とりあえず及第点」と言える、怪我なく長く野球を続けるための基礎知識です。

これまでの「休養=何もしない(サボり)」という考え方を捨て、 「次の練習のために、意図的に体を回復させる」 という意識を持つことから始めていきましょう。

このシリーズでは、以下のステップで解説していきます。

今後のロードマップ:ステップアップとしての「休養学」

以前お伝えした「栄養学シリーズ」からのステップアップとして構成しています。以下の流れで進めていきます。

  • 【第2回】栄養と水分補給(知識の肉付け): 「栄養学は以前のシリーズでやったじゃないか」と思う方もいるかもしれません。 その通りです。以前お伝えした「栄養ロードマップ」で解説した、エネルギーやタンパク質の「絶対量の確保」がベースであることに変わりはありません。 前回のシリーズでは、いきなりあれもこれも詰め込むと難しくなってしまうため、あえて触れなかった部分があります。それが「タイミング」と「水分補給」です。 今回は、基礎ができている前提で、より効果を高めるための知識を「肉付け」していきます。
  • 【第3回】睡眠の科学: 「寝る子は育つ」は科学的に正しかった。怪我のリスクを減らすための睡眠の考え方。
  • 【第4回】スケジュール管理: 毎日練習したい気持ちと、休まなければいけない体。このジレンマを解消するためスケジュール管理方法を学び、「トレーニング編」へと繋げていきます。

まとめ

一生懸命やる選手ほど、休むことに不安を感じるものです。 でも、その真面目さが仇となって、見えない疲労(脳の疲れ)を溜め込み、怪我をしてしまっては元も子もありません。

「楽をするため」ではなく、「明日、より良い練習をするため」に休む。 まずはこの意識を持つだけで、野球への取り組み方が変わるはずです。

次回は、食事のステップアップ編【第2回:タイミングと水分補給】についてお話しします。 基礎の栄養学に、少しだけ新しい知識を足していきましょう。

成長(Grow)するために行動(Activity)を起こしていきましょう。―Grovity Baseball―

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