今回の記事はこんな人に向けての内容です。
- 毎日コツコツ同じ素振りや基礎練習を頑張っているのに、試合で打てない選手
- 筋トレの重量が、ある時期からピタッと伸びなくなってしまった選手
- 「この練習メニューさえやっていれば上手くなる!」と思い込んでいる選手
こんにちは!
これまで「大原則シリーズ」として、技術を身につけるための考え方や、ウエイトトレーニングの目的など、成長のための「土台(ベース)」となる知識をお伝えしてきました。
今回はいよいよ、トレーニング編の一区切りとなるお話です。
結論から言います。
スキル練習であっても、筋力トレーニングであっても、「毎日まったく同じメニュー(動作)を繰り返していると、途中で成長が確実に止まってしまう」という残酷な事実があります。
「えっ!毎日同じ基礎練習を積み重ねることが大事なんじゃないの!?」と思った真面目な方ほど、今回の記事は大きな発見があるはずです。
ぜひ最後まで読んでみてください。
という選手にとってヒントになる内容となっています。
⚾ スキル練習の罠:単なる「反復」では上手くならない
まずは技術(スキル)練習のお話です。
大前提の理論として、野球において「まったく同じ動作を繰り返すだけの練習」を続けていても、試合で活躍することはできません。
なぜなら、野球は風の強さ、マウンドの掘れ具合、ピッチャーの疲労度や生きたボールの軌道など、「毎回まったく違う予測不可能な状況」に対応しなければならないスポーツだからです。
【補足:基礎練習こそ「ランダム性」が必要】
「でも、基礎を固めるためには、同じ動作を何百回も反復することが必要でしょ?」と思うかもしれません。
しかし近年、スポーツ科学の世界では、この「単なる反復練習(同じコース・同じ球速ばかりを打つこと)」は、試合での対応力が育たないため効果が薄いと疑問視されています。
本当の基礎とは、無菌室で綺麗なフォームを作ることではなく、「毎回違うボールに対して、無意識に体を微調整できる能力」のことです。
そのためには、球種やコース、タイミングを意図的にバラバラにする「ランダム練習」を取り入れ、脳に毎回「どう動くべきか」を再計算させることが不可欠なのです。
💡 具体的な方針:環境に「制約(スパイス)」を加えよう!
では、具体的にどう練習を組めばいいのでしょうか?
解決策の1つとして、「環境やルールに制約(スパイス)を加えること」が挙げられます。
例えば、ただの置きティーではなく「色つきのボールをトスしてもらい、言われた色だけを打つ」といったルールを追加する。
これだけで、脳と体は毎回新しい刺激に対応しようとフル稼働します。
過去の記事(#12)で解説した「制約主導型アプローチ(CLA)」という手法そのものです。
「言葉であれこれ体の動かし方を意識するより、環境やルールを変えることで、体が自然と最適解を見つける」という非常に優秀なメソッドです。
▶︎【#12 体が勝手に最適解を見つける「制約主導型アプローチ(CLA)」とは?】
🏋️♂️ 筋トレの罠:筋肉と神経は「慣れ」ると成長をサボる
これはウエイトトレーニングでも全く同じ現象が起きます。
「ベンチプレスが大事だ!」と教わって、毎回同じ重さ・同じ回数・同じフォームで繰り返し続けていると、ある時期からピタッと成長(MAX重量)が止まります。
なぜなら、体(筋肉と脳の中枢神経)がその刺激に「慣れてしまう」からです。
筋肉や神経はとても不思議で、「今まで経験したことのない新しい刺激」が来ないと、「あ、これいつもと同じやつね。今の体のままで十分対応できるから、大きくならなくていいや」と成長をサボってしまいます。
さらに、単調な高強度の反復は、中枢神経に深刻な疲労(スランプ)を引き起こす原因にもなります。
💡 具体的な方針:変数をシャッフルして「刺激」をずらす
筋力アップを止めないための方針は、「定期的に刺激のベクトルをずらすこと」です。
例えば、限界まで重いものを挙げる日と、少し軽くして最高速度で爆発的に挙げる日を交互に織り交ぜる。あるいは、数週間ごとにスクワットの種目(角度)を変えてみる。
このように、扱う「重さ」「スピード」「種目」といった複数の変数を絶えずシャッフルさせ、常に体に「新しい刺激だ!対応しなきゃ!」と思わせ続けることが、成長を止めない最強の作戦になります。
🥩 成長し続けるための「ステーキの法則」
ここまでのお話を、分かりやすい例え話でまとめましょう。
どんなに美味しい「超高級ステーキ(最高の練習メニュー)」があったとします。
1日目に食べたら「めちゃくちゃ美味い!最高だ!」と感動し、脳も体も大喜びします。
でも、それを1週間、1ヶ月と毎日食べ続けたらどうなるでしょうか?間違いなく「味気ない」「飽きた」「そろそろ違うものが食べたい」と感じるはずです。
「いやいや、それは食事の話でしょ?野球のトレーニングとイコールにしていいの?」と疑問に思うかもしれません。
しかし実は、生理学や心理学の観点から見ると、「脳の仕組み(報酬系)」としては食事もスポーツも全く同じ現象が起きているのです。
新しいスキルができた時や、初めての重さが挙がった時、脳は強い快感(ドーパミンなどの報酬)を得ます。
しかし、完全に習得した同じ動作を機械的に繰り返すだけになると、脳は「これはもう知ってる。快感を出す価値がない」と判断します。これが練習における「飽き」の正体です。
だからこそ、「練習に飽きた」「退屈だ」と感じるのは、選手の気合いや根性が足りないからではありません。
脳の中枢神経が「この練習からはもう新しい学び(刺激)が得られないから、別の新しい刺激をちょうだい!」と発している、生物学的なアラート(SOSサイン)なのです。
大切なのは、「白米(絶対に外してはいけない80点の基礎・大原則)」をしっかり持った上で、「日替わりのおかずやトッピング(様々な刺激・新しい練習のスパイス)」を絶えず組み合わせていくことです。色々な味付け(練習の工夫)を楽しむことで、体は様々な状況に対応できる「グルメな状態(引き出しの多い状態)」に進化していきます。
📝 まとめ:これからは「探究心」のフェーズへ!
- 同じ環境での単なる反復練習は、試合で使える「対応力」を奪う。基礎練習にもランダム性が必要。
- 筋肉や神経は同じメニューだと「慣れ」てしまい、成長が止まる。重さやスピードを常に変化させよう。
- 食事と同じで、脳は同じ刺激に飽きる。「退屈」は新しい刺激を求めるSOSサイン。
- 基礎(白米)をベースに、常に刺激(おかず)を変化させる工夫が必要!
今回で「大原則シリーズ(トレーニング編)」は一区切りとなります。
ここで学んだ「絶対に外してはいけない80点のポイント」さえ守っていれば、あとは自分自身で考え、工夫し、色々なメニューを試していく「主体性」と「探究心」が何よりも大切になります。
本ブログでは、皆さんが色々な味付け(練習)を試すための「種」として、トップ選手の感覚や、具体的な練習メニュー、悩みに合わせたドリルの選び方などをどんどん紹介していく予定です!
これからも一緒に、楽しみながら野球を探究していきましょう!



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