#2 野球選手に必要なエネルギー量(カロリー摂取量)を知ろう

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スポーツに打ち込む選手にとって、食事はトレーニングと同じくらい重要です。

食事ではまず抑えておくべきだと思う重要な内容として

1.必要なカロリー摂取量を知る
2.必要なタンパク質摂取量を知る
3.ビタミン・ミネラルなどをどう摂取するか
4.1〜3を踏まえた継続できる食事習慣を考える

の全4回を取り上げていきたいと思っています。

今回はその中でもまず第一に抑えてほしい「必要なカロリー摂取量を知る」ということについてまとめていきます。

例えば成長期のアスリートにとって、エネルギー不足は単なるスタミナ切れに留まらず、将来に関わる重大な怪我につながるリスクがあります。

また、成長期を過ぎたアスリートにとっては、エネルギー不足だけでなく、逆にエネルギーを摂り過ぎることで、パフォーマンスの低下や怪我につながるリスクも出てきます。

今回は、厚生労働省やスポーツ庁の公的データに基づき、以下の3点についてまとめました。

  • なぜ食事の中でも「カロリー摂取量(エネルギー)」が第一に重要なのか
  • 自分に必要なエネルギー量(カロリー目安)はいくらぐらいなのか
  • 具体的にどれぐらいの食事量が必要なのか

本記事を読むことでエネルギーの重要性と自分自身に必要なエネルギー摂取量、目安となる食事量が分かり、成長や怪我防止、パフォーマンス向上につながれば幸いです。

身体には「エネルギーを使う優先順位」がある

私たちの身体は、摂取したエネルギーを以下の順番で使います。

  1. 生命維持(心臓を動かす、体温維持、脳の活動など)※最優先
  2. 運動(日々のトレーニング)
  3. 成長・修復(身長を伸ばす、筋肉を作る、ホルモンバランスを整える)

もし食事量が足りないと、身体は生きるために「1.生命維持」を最優先させるため、筋トレをしても筋肉が付かない、練習をしても最大パフォーマンスが発揮されず成長しない等、トレーニングの成果に繋がらないということになります。

また、「2.運動」のエネルギーは足りていたとしても、それだけでは「3.成長・修復」へのエネルギー供給をストップさせてしまいます。

これは成長期の発育や怪我に大きな影響を与える項目です。

IOC(国際オリンピック委員会)も警告する「RED-S」

この「1.生命維持」「2.運動」を優先させるため、「3.成長・修復」へのエネルギー供給をストップさせてしまう状態を、スポーツ医学では「RED-S(レッドエス:スポーツにおける相対的エネルギー不足)」と呼びます。

エネルギーが不足すると、具体的には以下のような深刻なトラブルが発生します。

  • 骨がスカスカになる(疲労骨折):エネルギーが足りないと、骨を作るホルモン(性ホルモンなど)の分泌が止まります。これにより、骨がスカスカになり、疲労骨折を繰り返すようになります。一度下がった10代の骨密度は、大人になってから取り戻すのが極めて困難です。
  • 筋肉が分解される(肉離れ・靭帯損傷):エネルギーが足りないと、身体は自分の筋肉を分解してエネルギーに変えます。筋肉量が減ることで関節を支えられなくなり、膝や足首の靭帯損傷や肉離れのリスクが激増します。
  • 集中力の低下:脳のエネルギー(ブドウ糖)が枯渇し、判断力が鈍ることで接触事故や転倒などの突発的な怪我を招きます。

「しっかり食べる(必要なエネルギーを確保する)」ことは、パフォーマンスを向上させるという目的以前に「怪我の可能性を低くする」「成長するために必要なエネルギーを供給する(特に成長期)」など、身体の土台を守るために絶対に必要なことなのです。

【年齢・体重別】アスリートの必要摂取カロリー目安表

では、次に自分には何キロカロリーが必要なのか目星をつけられるようにしたいと思います。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」のデータ(身体活動レベルⅢ:高い)をベースに、成長段階に合わせて4つの区分にまとめました。 

身体活動レベルⅢというのは、移動や立位が多い生活に加え、スポーツ活動を活発に行っている状態です。

「推定エネルギー必要量 = 基礎代謝量 × 身体活動レベル(Ⅲ)」

で算出し、成長期はこれに「エネルギー蓄積量(成長に必要な分)」が加算されます。

① ジュニア期(6歳〜9歳頃):目安は体重1kgあたり 70〜80 kcal

神経系が発達する時期です。

この時期は体重1kgあたりに必要なエネルギー量が大人よりも非常に多いのが特徴です。

胃が小さく一度に量を食べられないため、3食+補食(おやつ)が必須です。

体重男子 (kcal)女子 (kcal)
20kg1,500〜1,6001,400〜1,500
25kg1,850〜2,0001,700〜1,850
30kg2,200〜2,4002,000〜2,200
35kg2,500〜2,8002,300〜2,500

② 成長期(10歳〜14歳頃):目安は体重1kgあたり 60〜75 kcal

身長が伸びる「スパート期」であり、人生で最もエネルギー不足になりやすい時期(最も注意が必要な時期とも言える)です。

運動で消費する分に加え、身体を大きくするために莫大なエネルギーが必要です。

※女子はこの時期に無理な減量をすると、疲労骨折や月経不順(FAT)のリスクが急増するとされています。まずは「しっかり食べて動く」ことが最優先です。

体重男子 (kcal)女子 (kcal)
35kg2,400〜2,6002,200〜2,400
40kg2,700〜2,9002,400〜2,600
45kg2,900〜3,2002,600〜2,800
50kg3,100〜3,5002,800〜3,000
55kg3,300〜3,7003,000〜3,200
60kg3,500〜3,9003,100〜3,300

③ 高校生期(15歳〜17歳頃):目安は体重1kgあたり 50〜60 kcal

骨格が完成に近づき、筋肉量が増大します。トレーニング強度も高くなるため、成人と同等化それ以上の摂取量が必要になります。

体重男子 (kcal)女子 (kcal)
50kg2,800〜3,0002,400〜2,600
60kg3,150〜3,4002,700〜2,900
70kg3,600〜3,9003,100〜3,300
80kg4,000〜4,4003,450〜3,650

④ 大人期(18歳以降):目安は体重1kgあたり 45〜55 kcal

成長期が終わった後になります。

成長分のエネルギーは不要になるため、自身の身体と活動量に合わせた調整が必要です。

私自身(32歳)もこの区分となります。

それまでと同じように食事をしていたら不必要なエネルギーを摂取し続けることになり、脂肪が蓄えられてパフォーマンスの低下や怪我を招く原因になり得ます。

※区分を18歳以降としていますが、まだ身長が伸びているなど、身体が成長しているのであればその間は③高校生期の食事を継続する必要があります。

※社会人になると、高校の部活動の頃に比べて運動量が少なくなっている可能性があります。その場合は身体活動レベルⅢ程の活動量に達しないため、下表のカロリーは過剰である可能性があります。(少なくとも「基本デスクワーク+筋トレ+草野球」程度の運動量の私には多すぎるカロリー量です。)

体重男性 (kcal)女性 (kcal)
50kg2,650〜2,9502,600〜2,900
60kg2,700〜3,0002,600〜2,900
70kg3,150〜3,5003,000〜3,300
80kg3,600〜4,0003,400〜3,700
90kg4,000〜4,5003,800〜4,200

個人で計算してみる場合(私自身が行っているカロリー計算)

大前提としてそれぞれ各個人の筋肉量や活動量等によって必要なカロリーは変わります。

今回まとめている表はあくまで目安になりますが、特に成長期は莫大なカロリーが必要だということを数字で認識してもらえたらと思います。

また、私個人は推定消費カロリー(メンテナンスカロリー)をKe!sanというサイトで計算しています。

自分の年齢、身長、体重を入力して1週間の活動レベルを選択すると一発で一日の総消費カロリー(=必要なカロリー)が分かります。

自身の活動量によってメンテナンスカロリーは変わります。

自身の活動量に合わせてどれぐらいのカロリー摂取が目安になるのか確認してみてください。

具体的に何をどれくらい食べるか?

「この食材でこれくらいのエネルギーが摂れる」という感覚を持つために、エネルギーの代表である主食とメインおかずとなる食材のエネルギー量をまとめました。

エネルギー量は文部科学省「日本食品標準成分表」のデータを参照しています。

エネルギー量

食材分量エネルギー
ご飯(普通盛)約0.5合茶碗1杯(160g)250 kcal
ご飯(大盛り)約0.75合どんぶり(250g)390 kcal
ご飯(1合)炊飯後(約330g)515 kcal
うどん1玉(約230g)220 kcal
パスタ乾麺1束(約100g)350 kcal
バナナ1本93 kcal
食パン6枚切り1枚156 kcal
鶏むね肉100g105 kcal
鶏もも肉100g190 kcal
豚ロース100g248 kcal
牛肉赤身100g176 kcal
鮭(切り身)1切れ約80g100 kcal
1個71 kcal
納豆1パック95 kcal

無理なく必要摂取カロリーを確保する方法案(実践法)

さっそく今から必要なカロリー計算をして、必要な量の食事を摂ろうと思っていませんか。

姿勢はすばらしいですが、最初からきっちり計算すると面倒ですし、数字ばかりを追いかけた食事は楽しくないかと思います。

また、これだけ食べないといけないというプレッシャーは、ストレスホルモンを増加させて逆に成長を阻害してしまうこともあります。

特にサポーターの方には、プレイヤーに食事を無理強いして食事自体がストレスにならないよう務めていただきたいです。

長期的に実践し続けるためにも無理なく取り組めるようにしていきたいものです。

そこで、私なりのステップをまとめます。

自分に必要なカロリーが大体どれぐらいか知る

自身の必要な推定カロリーの目安を設定します。

ここで細かくなる必要はありません。まずは大体これぐらいだなと、ざっくりでいいです。

本ブログの【年齢・体重別】アスリートの必要摂取カロリー目安表】でアバウトに設定しちゃってください。

1日の大体の摂取カロリーを知る

まずは1日で大体どれぐらい食べているか、今どれぐらいのカロリーが取れているかこれも大体でいいので見てみましょう。

毎日同じものを食べているわけではないと思うので、まずは「多い日は1日でこれぐらい食べる」という量を見てみると良いと思います。

【3. 具体的に何をどれくらい食べるか?】にまとめた表の食材以外に毎日のように食べる食材がある場合は、スマホやパソコンで「◯◯ カロリー」で調べてみましょう(すぐに分かります)。

1と2を比べてみる

実際に計算したカロリーを比べてみてどうでしょうか。

食べている量が足りていれば問題ありません。無理なく継続していきましょう。

食事量を増やす場合の戦略

必要なカロリーに足りていない場合は、少しづつでいいので食事量を増やす工夫をしてみましょう。

胃袋が大きくなくて一度の食事でたくさん食べられない場合は、おにぎりやパン等の間食を取り入れて見るのが良いです。

あと、エネルギーをまず足りさせることを考える場合は、あまり食材にこだわらなくてもいいと思っています。

菓子パンよりもお米の方が良い、野菜などの栄養バランスも考えた食事を摂ったほうがいい。

この考え自体は間違いないと思いますが、スポーツをする上での優先度第1位はエネルギーを確保することであるというのが本記事の根幹にある考え方です。

まずはエネルギーを充足させるためにも、好きなもの、食べやすいものを優先していくことも工夫の一つになると思います。

定期的なチェックと調整

実際にエネルギーが足りているかどうかは自分の身体に現れる結果で判断するのが1番です。

体重の推移や練習後半のスタミナを見てエネルギーが足りていそうかどうかを確認してみてください。

成長期で身長が伸び、体重が増えていれば必要なエネルギーは増えていくので、食事量も増やす必要があります。

身長が伸びていないけど体重が増えている場合も問題ないと思います。(成長期が終わっていればカロリーの摂りすぎ)

逆に成長期なのに身長も体重も増えていない(むしろ体重が減っている)という場合はエネルギー不足である可能性が高いです。

この段階で、実は活動レベルが思っていたより高くて必要なカロリーを多く見積もる必要性に気がついたり、その逆のパターンに気がついたりしていきます。

また、これらの1〜5のサイクルを繰り返すうちに、なんとなくカロリーが足りているか、足りていないかの目星がついてきます。

特に成長期が終わるとカロリー制限の必要性も出てくるので、日々を重ねるごとに目の前の食事が自分にとって多いか少ないか計算しなくても勝手にわかってくるようになります。

最初に物凄く細かく計算する必要がないと説明したのはこのためです。

単なるエネルギー摂取だけかもしれませんが、これだけでも経験を積むことによって自分のカロリー管理が上手になっていくことを実感できるようになると思います。

まとめ

今回は食事ではまず抑えておくべきだと思う内容のなかでも最重要項目として「エネルギー量(カロリー)」についてお話しました。

怪我をしないためにも、運動(トレーニング)をした分の修復、回復のためにも、そして成長期にスポーツをすることで発育に必要なエネルギーが枯渇してしまわないようエネルギーを十分確保するということが伝わっていれば嬉しく思います。

エネルギーを充足させるための実践方法や役立つヒントもまとめたので、今までなんとなく食事を摂っていただけの状態から、アスリートの食事へと踏み込む第一歩のきっかけとなれば幸いです。

次回は「タンパク質摂取量」についてまとめます。

エネルギー量の次に意識してもらいたい内容になりますので、楽しみにしていただけたらと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

何を始めるのにも遅すぎるということはありません。

成長(grow)するために行動(activity)を起こしていきましょう。―Grovity Baseball―

次の記事→#3 必要なタンパク質量を知ろう

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