スポーツに打ち込む選手にとって、食事はトレーニングと同じくらい重要です。
食事ではまず抑えておくべきだと思う重要な内容として
1.必要なカロリー摂取量を知る
2.必要なタンパク質摂取量を知る
3.ビタミン・ミネラルなどをどう摂取するか
4.1〜3を踏まえた継続できる食事習慣を考える
の全4回を取り上げていきたいと思っています。
今回は「2.必要なタンパク質摂取量を知る」ということについてまとめていきます。
本記事は「1.必要なカロリー摂取量を知る」についてまとめた記事(#2 野球選手に必要なエネルギー量(カロリー摂取量)を知ろう)を読んでいる前提で書いていますので、まだ読まれていない方は先に#2の記事を読んでいただきたいと思います。
「体を大きくしたい」「ケガを減らしたい」「バテない体力が欲しい」
これらを叶えるためには、必要なエネルギー(カロリー)を摂ることと並んで、「タンパク質を必要なだけ摂取すること」が重要になります。
今回はタンパク質摂取について年代別の摂取量の目安や摂取する際の注意点等、以下の5点についてまとめました。
- なぜ「タンパク質」が重要なのか
- 自分に必要なタンパク質摂取量はいくらぐらいなのか
- タンパク質を摂取する際に注意すること
- 代表的な食材に含まれるタンパク質の量
- プロテイン(サプリメント)の活用について
本記事を読むことでタンパク質摂取の重要性と自分自身に必要なタンパク質摂取量、目安となる食事量が分かり、成長や怪我防止、パフォーマンス向上につながれば幸いです。
なぜ「タンパク質」が重要なのか?
体作りにおいて、タンパク質は「身体を作るための材料」のようなものです。
どんなに優れたトレーニングを行ったとしても、材料がなければ筋肉や強い骨は形成されていきません。
自身が行ったトレーニングを無駄にしないためにも、身体を作る材料となるタンパク質が重要であるというわけです。
タンパク質不足が招く3つのデメリット
タンパク質が不足すると以下のようなデメリットがあります。
- 筋肉の分解とパフォーマンス低下:練習で使った筋肉を修復できず、逆に細くなってしまい、パワーやスピードが落ちる。
- ケガのリスク増大・回復の遅れ:筋肉だけでなく、骨や靭帯、腱の材料もタンパク質です。不足すると肉離れや疲労骨折のリスクが高まります。
- 成長の阻害(ジュニア・成長期):骨や筋肉の発達にタンパク質が不可欠であることから、身長を伸ばすためにもタンパク質は不可欠になります。
逆にしっかりタンパク質を摂取できていれば、
- 投球やスイング、トレーニング等で傷ついた筋肉をより強く修復してくれる。
- 怪我のリスクを低くできる。
- 身体が成長する時期にしっかり成長できる(身体が大きくなる)。
ということです。
【年齢別】1日に必要なタンパク質摂取目安量と取り組み方法
カロリーと同様に、野球選手(活動レベルが高い人)に必要なタンパク質量は、一般の人よりも多くなります。
各年代で注意点がありますので、それらについても触れながらまとめていきます。
① ジュニア期(6〜9歳)
摂取目標は「体重1kg✕1.2〜1.5g」になります。
この時期は「プレ・ゴールデンエイジ」とも呼ばれ、神経系の発達が著しい時期です。
筋肉を大きくすることよりも、様々な動作を習得するための身体の器作りと、今後一生続く「食べる力」を養うことが最優先されます。
そのため、「毎食少しずつタンパク質源を入れる」という習慣づけを主な取り組みにしていくことが望ましいと思われます。
注意点①:無理強いはしない。楽しく食事できる習慣のほうが大事。
この年代の子供は、一度に多くの量を食べることができない場合が多く、また偏食も激しい傾向にありますので、必要だからと無理に苦手なものを勧めたり、プロテインを飲ませるようなアプローチは、食事自体への嫌悪感を招く恐れがあります。
注意点②:あくまで最重要なのはエネルギー(カロリー)量
ジュニア期において「体を大きくしたいから」といってプロテインパウダーを多用し、肉ばかりを食べさせることは、逆に将来的な身長の伸び代を潰してしまうリスクがあります。
タンパク質は炭水化物(主なエネルギー源)と比べると、お腹にたまりやすく、満腹感を得やすいという特徴があります。
そのため、タンパク質の摂取を優先させると、満腹感から食事量自体が少なくなり、エネルギー不足の要因となる可能性を高めてしまうことになります。
まずはエネルギー確保が最優先ということを念頭に置きましょう。
※タンパク質摂取量が多い子供ほど身長が低く、年齢に対する身長のZスコアが低いという負の相関が見られたという研究もあるようです。
具体的な実践方法
この年代に対して「タンパク質を50g摂ろう」等の声掛けをしても伝わりません。
体重もそこまで重くないため、細かく計算するよりも「朝食に卵1個、おやつにチーズかヨーグルト」というレベルでタンパク質源を増やすことでタンパク質量を補うのが取り組みやすいと思います。
- 朝食の「プラス1品」: 朝食にゆで卵(約6.5gタンパク質)や納豆1パック(約7gタンパク質)を追加するだけで、午前中の授業と休み時間の活動に必要なアミノ酸を確保できます 。
- 補食(おやつ)の質的転換:スナック菓子ではなく、フィッシュソーセージ(1本約6〜7g)やキャンディチーズ、おにぎりを与える習慣をつける。
あくまで一例ですが、日々の食生活に取り入れやすいところから始めるだけで十分タンパク質の摂取が見込めると思われます。
② 成長期(10〜14歳)
摂取目標はジュニア期から継続して「体重1kg✕1.2〜1.5g」になります。
小学校高学年から中学生にかけては、第二次性徴が始まり、身長が急激に伸びる「成長スパート」を迎える時期です。
この時期の栄養管理は、将来の体格を決定づける最も重要なフェーズとなります。
骨が急激に伸びる一方で、筋肉や腱の成長が追いつかず、身体の柔軟性が低下しやすくなったり、オスグッド・シュラッター病などの成長痛も発生しやすい時期です。
骨の土台となるコラーゲン合成のためにもタンパク質が必要となります。
※骨を強くするにはカルシウムだけでなく、骨組みとなるコラーゲン(タンパク質)が必要となります。
注意点と実践方法
注意点と実践方法についてはジュニア期と同様になります。
ただし、ジュニア期と比べて体重も増えて必要なタンパク質量も多くなりますので、普段の食事量や捕食の量も身体の大きさに合わせて変えていくことも必要になってきます。
※体格が大きくなるにつれて食欲も増していくことが多いので特別意識しなくても十分摂取できる可能性もあります。
③ 高校生期(15〜18歳)
摂取目標は「体重1kg✕1.6〜2.0g」になります。
身体的な成長(身長の伸び)が落ち着いてきて、本格的な筋肥大(ハイパートロフィ)が可能になってくる時期です。
ジュニア期、成長期と比べても練習量が増え、人生で最もタンパク質が必要な期間になります。
注意点①:必要なエネルギー(カロリー)確保は大前提
日本の高校野球は練習量・頻度が極めて高く、消費カロリーが膨大になる可能性が高いです。
十分なタンパク質を摂取していても、総摂取カロリーが不足していれば、摂取したタンパク質はエネルギーとして燃やされてしまい、筋肉の合成に使われないため、「高タンパク質」であると同時に「十分な糖質(エネルギー)」を確保することが大前提となります。
注意点②:食事だけで必要量摂るのが難しくなるかも
必要なカロリー量も相当な量になるため、食事だけで必要なタンパク質量を補えるかもしれませんが、主食(特にお米)ばかりが多くなり、タンパク質が不足する可能性もでてきます。
特に学校生活✕部活等のスケジュールでは持ち運び可能な食材にも制限が出てきますので、プロテインパウダーやプロテインバー等のサプリメント活用も視野に入れる時期になるかもしれません。
実践方法
まずは日々の食事を振り返ってタンパク質が足りているかどうかをチェックします。
次に、補食や日々の食事等でタンパク質が補える部分に取り組みます。(ジュニア期、成長期と同様)
それでも足りない部分はプロテインサプリメントの活用を検討する。
というのが現実的に実践しやすい方法になると思われます。
④ 大人期(18歳以降)
摂取目標は「体重1kg✕1.3〜1.5g」「体重1kg✕1.6〜2.0g」になります。
大人期にも筋肉はもちろん成長していきますが、年齢とともに成長のための摂取から「維持・回復・機能改善」のための摂取へと目的がシフトしていきます。
注意点:カロリー過多、内臓器官の負担を考慮する
身体的な成長が完全に終了するため、必要なタンパク質量もそれに合わせて少なくなります。
基礎代謝が徐々に低下するため、高校時代と同じ食事を続けていると体脂肪が増加し、キレのない動き(回転速度の低下)につながります。
また、飲酒の機会が増えるなど、肝臓への負担を考慮したタンパク質源の選択も考える必要があるかもしれません。
それぞれの年齢、ポジションや体質に合わせて調整する必要性がでてきます。
ジュニア期〜高校生期ではエネルギーの確保が最優先事項でしたが、大人期では逆に制限しながらタンパク質量を摂取しなければならず、実践難易度が高くなります。
具体的な実践:オフシーズンとシーズン期の使い分け
筋力向上などを目的としたオフシーズンの時期は「体重1kg✕1.6〜2.0g」、維持、回復、機能改善を主とするシーズン時期は「体重1kg✕1.3〜1.5g」と場合分けすることが望ましいです。
余分なカロリー摂取はエネルギー過多につながるため、食事の内容に気を配るかプロテインサプリメントを活用してカロリーを抑えつつ、タンパク質摂取量を確保することになると思われます。
タンパク質を摂取する際の注意点
全年齢に共通する注意点をまとめます。
大量にとっても意味はない
どれぐらいのタンパク質が必要になるのかについて、目安となる目標量をまとめましたが、ここで一つ、重要なポイントがあります。
「タンパク質は、摂れば摂るほど効果が上がり続けるわけではない」ということです。
- 適量まで: 筋肉の合成効率がグングン上がります。
- 適量以上: 効果の伸びが鈍化する。過剰分は体脂肪として蓄積されたり、尿として排出され、内臓(肝臓・腎臓)に負担をかけるだけになります。
つまり、「闇雲に大量に摂る」のではなく、「自分に必要な適量を毎日コンスタントに満たす」ことが大切になります。
主な食材のタンパク質含有量
主な食材に含まれるタンパク質量の目安を記載します。
| 食材カテゴリー | 食材名(分量) | タンパク質含有量(目安) |
| 肉類 | 鶏むね肉・ささみ(100g) | 約 23g |
| 豚ロース・牛もも肉(100g) | 約 20g | |
| 魚介類 | 鮭の切り身(1切れ(80g)) | 約 18g |
| ツナ缶(1缶・ノンオイル) | 約 15g | |
| ちくわ1袋(4〜5本) | 約 12〜15g | |
| 卵・乳製品 | 鶏卵(1個) | 約 6.5g |
| 牛乳(コップ1杯 200ml) | 約 7g | |
| ヨーグルト(1カップ) | 約 4g | |
| スライスチーズ(1枚) | 約 4g | |
| 大豆製品 | 納豆(1パック) | 約 7g |
| 木綿豆腐(1/2丁(150g)) | 約 10g | |
| 主食 | ご飯(白米)0.5合(165g) | 約4.5g |
| 食パン(6枚切り1枚) | 約6g | |
| パスタ(1束100g) | 約12g |
プロテイン(サプリメント)は必要か?
結論から言うと、「食事で足りない分を補う『補助』としては非常に有効」であると考えています。
メリット
最も大きなメリットとして食事で摂りきれないタンパク質を確実に摂取できることが挙げられます。
特に必要な量を食事だけで摂ろうとするとカロリーオーバーになる場合や、身体が大きくなって(体重が増えて)食事だけでタンパク質を摂ることが難しくなってきた場合には活用するメリットが大きいと思います。
食欲がないときでも摂取できるという点もメリットです。
ジュニア期の注意点でも書きましたが、タンパク質はお腹にたまりやすく、食欲がない時に食材から摂るのはハードルが高くなります。
米や麺は丼ぶり一杯食べられるけど、お肉(鶏胸やささみ)を丼ぶり一杯は中々食べ進められないというのはイメージしやすいかと思います。
また、プロテインパウダーは食事と比べて吸収速度が速いため、練習直後などすぐに筋肉に栄養を届けることができるというメリットもあります。
※吸収速度というのは筋肉を作るのに重要なポイントですが、本記事のテーマからはそれるので割愛します。(今後別記事でまとめます。)
プロテインのデメリット・注意点
- 「食事」ではない: ビタミンやミネラル、咀嚼(そしゃく)による消化酵素の分泌などは食事に劣ります。あくまで「食事+α」です。
- コスト: 毎日のことなので費用がかかります。(※サプリメントの種類によりますが)
- お腹の不調: 主に販売されているプロテインは乳製品から生成されたホエイプロテインになります。ただ、日本人は乳糖不耐症(牛乳でお腹がゴロゴロする)が多く、ホエイプロテインが合わない子もいます。その場合は「WPI製法」のものや「ソイプロテイン」を選びましょう。
「WPI製法」のものは価格が高めになり、ソイプロテインは吸収速度が遅くアミノ酸スコアも低いので、乳製品から生成されたホエイプロテインよりもメリットが小さくなる点があります。(詳細は割愛。)
補足(ジュニア期のプロテイン摂取について)
ジュニアプロテインと呼ばれる製品群は、タンパク質含有量は低め(40〜50%程度)で、カルシウム、鉄分、ビタミン群が強化されているものが多いです。
これらはジュニア期から成長期にかけて不足しがちな栄養素を補うことを目的としている側面が強く、タンパク質補給に加えて偏食のある子供には有効な保険となり得ます。(※詳細は別記事でまとめます。)
まとめ:今日からできること
野球選手にとってのタンパク質は、自分の身体の材料となる大事な栄養素です。
- まずは自分に必要なタンパク質目標量を知る
- 朝食に「卵」、「納豆」、「ヨーグルト」を一品足す
- 補食(おやつ)を有効活用する
- 食事だけでタンパク質の摂取が難しくなってきたらプロテイン(サプリメント)の活用を視野に入れる
完璧を目指さなくて大丈夫です。
まずは「昨日よりちょっと意識する」ことから始めて、強い体を作っていきましょう!
最後まで読んでくださりありがとうございました。
何を始めるのにも遅すぎるということはありません。
成長(grow)するために行動(activity)を起こしていきましょう。―Grovity Baseball―



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