第1回目のテーマは「まずは大枠を掴むことを重要視する」です。
野球のパフォーマンスを向上させるために、私が大切だと思っている「考え方」についてお話ししていきます。
今の時代、SNSやYouTubeを開けば「メジャーリーガーがやっているドリル」や「最新の理論」が溢れていますよね。
でも、そういった情報に飛びつく前に、一度立ち止まって考えてほしいことがあります。
今日はその考えてほしいことや、細かいテクニックや流行りの練習法(メソッド)に振り回されず、確実に成長するための「土台」となる考え方を伝えられたらいいなと思います。
原理原則を理解する姿勢を持つ
「あの選手がこのサプリを飲んでいるから」「インスタで見たこのドリルが良さそうだから」といった理由で、なんとなく練習メニュー等を決めてしまったことはないでしょうか?
いいと思ったらすぐ実践してみるという姿勢自体は、素晴らしいものだと思います。
ただし、何の意図も目的もなく、ただやってみているというだけで、本当に自分が成長したい方向に進めていると言えるでしょうか?
現代は情報が溢れすぎていて、何が本当に正しいのかが分からなくなっている状態であると思います。
そんな中で限られた練習時間を「何となく」で選んでしまった取り組みに使ってはもったいないのではないかと思います。
また、もしかするとその取り組みは無駄に終わるだけでなく、成長に逆効果であったり、思わぬ怪我に働いてしまう可能性だってあります。
なぜなら、特定のドリルやメソッド(方法)は、その選手の身体的特徴や状況などの前提条件が揃っているからこそ効果があるものかもしれないからです。
前提条件が違うあなたがただ表面的に同じことをやっても、期待する効果が得られるとは限らないというのはごく自然ではないでしょうか。
では、数ある溢れる情報に惑わされず、自身の成長のための行動を選択できるようにするためにはどうしたらいいのかですが、ここで大切になるのが、「第一原理思考」という考え方だと私は思っています。
少し難しそうな言葉ですが、要するに「物事の根本的な真実まで分解して考える」ということです。
例えば
* 「ボールを遠くに飛ばすためには、バットとボールが当たった瞬間に、物理的に何が起きる必要があるのか?」
「速いボールを投げるためにはどのような身体の使い方(運動連鎖)が必要になるのか」
* 「筋肉を大きくするためには、身体の仕組み(生理学)として、どのような刺激と休養が必要なのか?」
などです。
本当に大切なのは、「どのドリルをやるか」ではなく、「なぜそのドリルが必要なのか」という原理を理解することです。
時代が変われば流行りの練習法(メソッド)は変わりますが、原理原則は変わりません。
初めから完璧に理解しようとするとハードルも高いですし、何も取り組めなくなってしまうので、まずは「根本的な仕組みから理解しようとする姿勢でいよう!」という気概があれば十分だと思います。
私自身、全ての原理原則を理解している訳ではないですし、今でも日々勉強中です。
「有名な選手やメジャーリーガーがこのトレーニングをしているから、私もやる」という単なる真似ではなく、そこから踏み込んで、「なぜこの練習が効果的だと言っているのか、根拠となる原理原則は何か、今の自分が成長させたい部分に向いた内容なのか」などを考えるようになれば、少しずつ原理原則の知識も習得でき、情報の取捨選択も上手になってくると思います。
木の「枝葉(細かいテクニック)」ばかり見て、「幹(本質的な土台)」を見失わないようにしましょう。
成果の80%は、たった20%のことから生まれるかもしれない
ここで、一つ参考になると思う法則を紹介します。「パレートの法則(80:20の法則)」です。
これは、「結果の80%は、原因の20%から生み出される」という考え方です。
野球の練習に置き換えると、あれこれたくさんのことに手を出すよりも、「本当に重要な20%のこと」を徹底するだけで、「成果の大部分(80%)が決まる」ということです。
感覚的に「そんなわけない!」と思う人もいるかもしれませんし、実際にこの割合(%)通りなのかは私自身も疑問はあります。
しかし、達成できたとしても得られる成果の小さい細かい部分(流行りのグッズや特殊なドリルなど)に時間を使うよりも、まずは影響の大きい重要度の高い内容を優先することのほうが大事だというのは納得できるのではないでしょうか。
重要な内容例としては
- 休養:睡眠を始めとした十分な休養を確保すること
- 食事: ご飯をしっかり食べて、エネルギーとタンパク質を確保すること
- 練習: 走る、打つ、投げるレベルを向上させるための基礎的なトレーニングを行うこと
などが挙げられると思います。
記事のはじめに挙げた「あの選手がこのサプリを飲んでいるから」「インスタで見たこのドリルが良さそうだから」という例は、
本当に自身プレーの成長にとって影響が大きく、重要度が高い内容だと思うのか?
という疑問を投げかけたいのです。
日本の武道には「守破離(しゅはり)」という言葉があります 。
- 守(Shu): 基本を忠実に守る
- 破(Ha): 自分に合うように応用する
- 離(Ri): 独自のスタイルを確立する
基礎(守)ができていないのに、トップ選手がその先の次元で獲得した変則的なフォーム(離)を真似しても上手く可能性は低く、たとえその場で上手くいったとしても、応用が効かないとなればそれは長続きもしないと思います。
まずは「自分にとって影響の大きく、重要な内容から取り組む」ことが大きく成長するための重要ポイントであるということを覚えておいてください。
※それぞれの詳しい内容については今後の記事にあげていきたいと思っています。
最初から100点を目指さない。「80点」でもOK
次にお伝えしたいのは
「やるからには完璧にやらなきゃ」と思いすぎていませんか?
ということです。
実は、最初から100点満点を目指すのは効率が悪く、リスクも高いのです。
「収穫逓減(しゅうかくていげん)の法則」という言葉があります。
これは、あるレベルを超えると、そこから少し伸ばすためにものすごい労力が必要になるという法則です。
0点から80点にする努力と、80点から100点にする努力では、後者の方が何倍も大変だということです。
人より抜きん出たエリートレベルを目指すためには、もちろん80点以上を目指す必要性は出てくると思います。
ただ、それは栄養・休養・練習等における重要な取組内容が当たり前になった先にあると思います。
重要な要素をクリアしていくと、自然と次に取り組む内容は徐々に細かくなり、独自性も高いものになり、それが自身の武器となる80点以上の要素につながっていくのではないでしょうか。
まとめ:シンプルが一番強い
今回の記事でお伝えしたかったのは、以下のポイントです。
- まずは重要度の高い取り組みをする:流行りのメソッドに飛びつく前に、睡眠や基礎練習といった重要な20%を優先する。
- 「なぜ?」を考える:有名な選手がやっているからではなく、原理を理解して選ぶ。
- 80点を継続する:完璧を目指して燃え尽きるより、合格点を長く続けるほうが成長できる。
細かい部分(残りの20%)を詰めるのは、土台が完成してからで十分です。
まずはシンプルに、大枠を捉えることから始めていきましょう。
次回以降の記事では、私がこの大枠と捉えている(または大枠として確立されている)内容について、具体的にお話ししていく予定です。
第1回目の投稿から少し硬い内容で、面白味に欠けた内容になってしまったかもしれませんが、今後の情報発信に不可欠な考え方だったため、今回のテーマを取り上げさせていただきました。
次回以降の記事では、実際に実践できる内容がでてきますので、楽しみにしていただければと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。


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